P-3C Orion
Anti-surface warfare Improvement Program

 米海軍の主力大型対潜機P-3 Orionシリーズは、40年以上も前の1959年に原型機が初飛行して以来P-3A, P-3Bと進化し、現在主力のP-3Cの原型機の初飛行は1968年という実に長寿の機種であるが、30年以上も使用されているP-3Cも、その時代時代の最新の対潜機器にアップデート化を図り、P-3C Update I, P-3C Update II, P-3C Update II.5, P-3C Update IIIと進化し続け現在に至っている。
 しかし、近年の水上艦艇の対空・対艦ミサイルの発達や冷戦の崩壊などにより、ごく自然の流れとして対潜能力以外の装備の充実を図った派生型が現れてきた。
 最初に現れたのは、“Outlaw Hunter”計画の基に、水平線越の艦船を捕捉する能力を強化したOASIS(Over the Horizon Targeting Airborne Sensor Information System)を装備する、P-3C OASIS I(Bu.No.157329), P-3C OASIS II(Bu.No.161011) , P-3C OASIS III(Bu.No.159507)の3機である。しかしこれらは名称からもわかるように個々の装備が異なる開発途上の機体で、これの運用データを基に現在のP-3C AIPに発展していった。

 P-3C OASIS IIIから発展したP-3C AIP(Anti-surface warfare Improvement Program)は、対水上戦能力の付与及び、SLAMやマーべリックなどを新たに装備可能にした対水上艦攻撃能力の強化型で、監視・偵察・捜索・戦闘損傷評価などの様々な任務も併せて遂行できる派生型である。その外観的な特徴は・・・、

コックピット後方左側面の平窓・・・AVX-1 EOSS(Electoro Optical Senser System)
レド―ム及びMADブーム・・・AAR-47 ミサイル接近警報センサー
胴体上面、後部胴体側面・・・SATCOMアンテナ
機首下面、内側エンジンナセル最後部・・・ALE-47 チャフ・フレアディスペンサー
胴体下面のソノブイシュートの前方・・・ALR-66(V)3 ESM
などがあげられる。特筆される装備システムは、上述したOASIS IIIの他、S-3Bに装備された索敵能力向上型のAPS-137B(V)5レーダーへの換装である。

 当初、146機のP-3C AIPを改造する計画だったが、予算削減により改造予定機数は56機に削減されたとも伝えられている。しかし、はっきりとした改造数はわかっておらず、現在までに以下の55機のP-3C AIPが確認されている。(2003年10月29日現在)

157319, 158210, 158215, 158222, 158224, 158225, 158563, 158564, 158567, 158571,
158573, 158919, 158922, 158934, 159318, 159320, 159322, 159323, 159326, 159329,
159503, 159507, 159885, 159891, 159894, 160283, 160287, 160610, 161011, 161012,
161124, 161338, 161763, 161764, 161765, 162314, 162315, 162316, 162317, 162770,
162771, 162772, 162774, 162775, 162776, 162777, 162778, 162998, 163000, 163006,
163289, 163290, 163291, 163292, 163295
三沢基地に6ケ月ローテーションで配備される部隊には少なくとも2機のP-3C AIPが必ず配備されているので、上の写真を基に注意深くチェックされてはいかがでしょうか・・・。

P-3C Orion
Counter Drug Update

 またP-3C AIPとは別に、主に海上からの麻薬密輸に対する監視活動に用いられる目的で改造されたP-3C CDU(Counter Drug Update)と呼ばれる派生型の存在が最近確認されました。改造予定機数はわかっておりませんが、現在までに以下の32機(2000年9月29日現在)が確認されています。しかしながら、現段階ではお伝えする情報が少なく、写真だけの紹介に留めますが、VP-47の隊長機Bu.No.161405やVP-9のBu.No.161132、また最近厚木で時々見かけるBu.No.160611など、通常のVP部隊には、混成で1, 2機が装備されている場合がありますので、写真とBu.No.を参考にチェックしてみて下さい。そして、新たな情報が得られましたら私まで連絡いただければ幸いに思います。

156515, 157311, 157314, 158569, 158931, 158933, 160611, 160765, 160766, 160767,
160769, 160770, 161002, 161006, 161009, 161014, 161130, 161131, 161132, 161332,
161336, 161339, 161340, 161405, 161407, 161591, 161592, 161766, 162318, 163001,
163002, 163005

 最後に、このページ作成にあたって、厚木を中心に活動しているNAPS(US Naval P-3 Spotters)のWizard氏およびGoemon氏から多くの協力をいただきました。この場でお礼を申し上げると共に、NAPSの今後の更なる発展を祈ります。どうもありがとうございました。

( 2003年10月29日、P-3C AIPのBuNoを更新 )
( 2003年10月8日、P-3C AIPのBuNoを更新 )
( 2000年9月25日、 解説 : GO! NAVY 広江 隆文、 協力 : NAPS Wizard/Goemon)